その不眠、飲んでいる薬が原因かもしれない。薬剤師が原因になりうる薬を整理する
- 不眠の原因が服用中の薬にある場合、サプリを足しても土台は変わらない。
- ステロイド、テオフィリン、β遮断薬、一部の抗うつ薬、カフェインを含む市販薬などは、不眠が副作用として知られている。
- 原因薬に心当たりがあっても、絶対に自己判断で中断・減量しない。処方医・薬剤師に伝えるのが先だ。
1まず押さえる一点
眠れない日が続くと、多くの人はまず「何を足すか」を考える。睡眠サプリ、睡眠改善薬、寝具、アプリ。だが服薬中の人には、その前に確かめる価値のある入口がある。【いま飲んでいる薬そのものが、不眠を起こしていないか】という点だ。
薬の副作用として不眠が起こることは、薬剤性不眠と呼ばれる。原因が薬にあるなら、上から何かを足しても効きが悪いのは当然で、サプリの評価としても不公平になる。逆に、原因薬が特定できて処方が調整されれば、それだけで眠れるようになることがある。順番の問題として、こちらが先だ。
大事な前提を先に置いておく。ここに挙げる薬は、不眠が報告されているというだけで、飲んではいけない薬ではない。どれも、それを飲む理由があって処方されている。
2不眠が知られている代表的な薬
【副腎皮質ステロイド】プレドニゾロンなどの内服ステロイドは、不眠が比較的よく知られた副作用だ。朝に服用する処方設計になっていることが多いのは、体内のホルモンリズムに合わせる意味に加え、夜の覚醒を避ける意味もある。詳しくはステロイドと睡眠で扱った。
【気管支拡張薬】テオフィリンなどのキサンチン系は、中枢神経を刺激する性質を持つ。カフェインと構造的に近い仲間だと考えると分かりやすい。喘息やCOPDで服用している場合、不眠や動悸との関連は押さえておきたい。
【β遮断薬】高血圧、狭心症、不整脈などで使われるβ遮断薬では、不眠や悪夢が副作用として知られている。降圧薬全般とサプリの関係は降圧薬と睡眠サプリにまとめてある。
【抗うつ薬】SSRIやSNRIでは、種類によって不眠が起こることがある。一方で眠気が出るタイプもあり、方向は薬によって分かれる。抗うつ薬と睡眠サプリを参照してほしい。
【甲状腺ホルモン薬】量が体に対して多い状態では、動悸や発汗とともに眠りにくさが出ることがある。定期的な血液検査で調整される部分だ。
【カフェインを含む市販薬】見落とされやすいのがここだ。総合感冒薬、鎮痛薬、眠気覚まし製品の一部には無水カフェインが配合されている。処方薬を几帳面に管理している人でも、市販の頭痛薬は数に入れていないことがある。カフェインの効き方と時間の関係はカフェインと睡眠で扱った。
3「眠れない薬」だけでなく「眠りの質を崩す薬」もある
不眠として自覚されるのは、寝つけない、途中で目が覚める、という形が多い。ただ薬の影響はそれだけではない。日中に強い眠気が出る薬を飲んでいると、夕方にうたた寝が増え、その結果として夜の眠りが浅くなる。第一世代の抗ヒスタミン薬などがこれにあたり、花粉症・アレルギーの薬と眠気で整理している。
また、利尿薬を飲む時間帯によっては夜間の排尿が増え、それが中途覚醒として現れることもある。この場合、不眠そのものが副作用というより、別の作用が結果として睡眠を削っている。原因の位置が違うので、対処も違ってくる。
4心当たりがあったとき、何をするか
まず、してはいけないことをはっきりさせておく。【自己判断で薬をやめない、減らさない】。ステロイドやβ遮断薬のように、急にやめること自体が危険な薬がある。不眠は不快だが、原疾患の悪化と引き換えにしていいものではない。
やるべきことは単純だ。いつから眠れなくなったか、そのころ薬が変わったか増えたか、これを思い出して処方医か薬剤師に伝える。開始時期と不眠の始まりが重なっているかどうかは、判断材料としてかなり強い。お薬手帳があれば、そこに時系列が残っている。
そのうえで、服用時刻をずらす、同じ効果で不眠の出にくい薬に替える、量を調整するといった対応が検討される。いずれも処方する側の判断が要る領域で、こちらから材料を出すことが最も役に立つ。
5サプリはこの話のどこに置かれるか
薬剤性不眠が疑われる状況では、睡眠サプリは原因に触れていない。当サイトが扱う7成分の機能性表示食品としての届出は、睡眠の質や一時的な疲労感、ストレスといった範囲に向けたものであって、薬の副作用を打ち消すためのものではない。
したがって順番としては、原因薬の可能性を処方医と確認するのが先、サプリはその後だ。原因を残したままサプリで蓋をしようとすると、効かないサプリを買い続けることになりやすい。処方薬と睡眠サプリの併用そのものの考え方は睡眠薬と睡眠サプリの併用、薬ごとの個別判定は飲み合わせハブにまとめてある。
6この記事のポイント
- 不眠の原因が服用中の薬にある場合、サプリを足しても土台は動かない
- ステロイド、テオフィリン、β遮断薬、一部の抗うつ薬、甲状腺ホルモン薬などで不眠が知られている
- 市販の総合感冒薬・鎮痛薬に含まれる無水カフェインは見落とされやすい
- 日中の眠気を起こす薬が、夕方のうたた寝を通じて夜の眠りを浅くすることもある
- 心当たりがあっても自己判断で中断・減量しない。急な中止が危険な薬がある
- 「いつから眠れないか」「そのころ薬が変わったか」を処方医・薬剤師に伝える
- サプリは原因薬の確認より後。順番を逆にすると効かない買い物が続く
- 医薬品の副作用・禁忌情報:医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品添付文書情報(https://www.pmda.go.jp/)
- 重篤副作用疾患別対応マニュアル:厚生労働省(PMDA掲載, https://www.pmda.go.jp/)
- 機能性表示食品の届出表示:消費者庁 届出情報検索(https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/)
- 成分の一般情報:国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNet, https://hfnet.nibiohn.go.jp/)
- 確認日 2026-07-23
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