ステロイドの薬を飲むと眠れない。薬剤師が理由と、まずできることを整理する
- 内服ステロイド(プレドニゾロンなど)は、体内の日内リズムに影響し、精神を高ぶらせるため、不眠が起こることがある。副作用として知られたことで、あなたのせいではない。
- 飲む時間の工夫(夜でなく朝に寄せる)で軽くなることがある。ただし変更は必ず主治医・薬剤師と。自己判断で時間や量を変えない。
- 眠れないからとステロイドを勝手にやめるのはいちばん危険。サプリで解決する話でもない。まず処方元に相談する。
1なぜステロイドで眠れなくなるのか
体の中で作られるステロイド(副腎皮質ホルモン)は、朝から日中に多く、夕方から夜に少なくなるリズムを持っています。薬としてステロイドを飲むと、このリズムに影響し、本来は下がっていく夜の時間帯に体が高ぶった状態になりやすくなります。結果として、寝つけない、夜中に目が覚める、頭が冴えて休まらない、といった不眠が起こることがあります。
不眠だけでなく、気分が高揚したり、逆に落ち込んだりする精神面の変化が出ることもあります。これらは薬の作用として知られたもので、意志の弱さや気の持ちようの問題ではありません。まずそこを誤解しないことが、対処の出発点になります。
2まずできること(自己判断で変えない)
対処として知られているのが、飲む時間の工夫です。夜に飲む処方になっている場合、朝に寄せることで、体のリズムとのズレが小さくなり不眠が和らぐことがあります。ただし、これは病気や薬の種類によって適否が変わります。良かれと思って自分で時間を動かすと治療に影響することがあるので、必ず主治医か薬剤師に「夜眠れないので飲む時間を相談したい」と伝えてください。
不眠が強い場合には、医師の判断で睡眠に関する薬を一時的に併用することもあります。これも処方の範囲で調整するもので、市販の睡眠薬やサプリを自分で足すこととは違います。市販の睡眠改善薬を重ねることの注意は高齢者と睡眠薬の記事の考え方にも通じます。
3いちばんやってはいけないこと
眠れないのがつらいからと、ステロイドを自己判断で減らしたりやめたりするのは危険です。ステロイドは急にやめると体調を大きく崩すことがある薬で、不眠より重い問題を招きかねません。「眠れない」は、やめる理由ではなく、処方元に相談する合図です。
飲んでいる薬やサプリが増えているなら、飲み合わせの全体像を一度整理するのも役立ちます(飲み合わせの総合ガイド)。
4サプリの位置づけ
ステロイドによる不眠を「治す」とうたえる健康食品はありません。睡眠サプリは睡眠の質に関する届出であって、薬の副作用を打ち消す道具ではない、という前提で見てください。「これを飲めばステロイドの不眠が消える」と読み替えるのは、いちばん危ない誤解です。届出表示が何を意味するかは届出表示の読み方にまとめています。寝つきそのものの切り分けは寝つきが悪い人の入口も合わせてどうぞ。
ステロイドの不眠は、多くが治療の経過とともに変化します。ひとりで抱えず、飲む時間の相談から始める——これが遠回りに見えて確実です。
- ステロイドの副作用(不眠・精神症状)・服用時間:各医療機関の患者向け情報、医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品添付文書情報(https://www.pmda.go.jp/)
- 消費者庁 機能性表示食品 届出情報検索(https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/)