飲み合わせ

降圧剤を飲んでいる人の睡眠サプリの選び方。薬剤師が避ける成分・選ぶ順番を整理する

まず結論
  • 降圧剤とサプリで一番気をつけたいのは、両方とも血圧が下がる方向に関わる組み合わせ。立ちくらみ・だるさが出るなら相談のサイン。
  • 血圧に関わる届出のある成分(GABAなど)や、血圧への研究報告がある成分(L-テアニン・マグネシウム)は、足す前に主治医・薬剤師へ成分名を伝える。
  • 降圧剤そのものは、自己判断で中断・増減しない。サプリはあくまで足し引きの対象で、薬の調整とは別の話。

血圧の薬を飲みながら、眠りのために睡眠サプリを足したい——この組み合わせで検索する人は多いです。ここでは、降圧剤を服用している人が睡眠サプリを選ぶときに、どの成分に注意し、どういう順番で考えればよいかを、薬剤師の視点で整理します。個別の成分ごとの詳しい判定は、それぞれの記事に分けてあります。

1なぜ降圧剤×睡眠サプリで注意が要るか

降圧剤は、高い血圧を抑えるために飲む医薬品です。睡眠サプリのなかには、血圧に関わる機能を届け出た成分や、血圧への影響が研究で報告されている成分があります。作用の向きが同じ(血圧が下がる方向)だと、両方を重ねたときに下がりすぎて、立ちくらみ・ふらつき・だるさとして出ることがあります。危険と決まっているわけではありませんが、飲んでいる降圧剤の種類・腎機能・摂取量で変わるので、一律に「大丈夫」とも言えません。だから、選ぶ前に成分を分けて見る必要があります。

2特に相談してから足したい成分

いずれも「飲んではいけない」ではなく、降圧剤を使っているなら、足す前に成分名を主治医・薬剤師に伝えたい、という意味です。

【GABA】血圧が高めの方に適するという届出を持つ製品があり、降圧薬と作用が重なりうる成分です。睡眠型・ストレス型でも成分は同じなので、血圧への配慮は要ります。詳しくはGABAと降圧剤の飲み合わせで判定しています。

【マグネシウム】降圧剤との組み合わせで血圧の下がり方に関わることがあり、腎機能が低下している人ではマグネシウムの摂りすぎにも注意が要ります。詳しくはマグネシウムと降圧剤の飲み合わせを参照してください。

【L-テアニン】血圧に関わる研究報告のある成分です。ただしGABAと違い、届出の対象は眠りとストレスで、血圧には触れていません。この差が相談の重さをどう変えるかはL-テアニンと血圧の薬で判定しています(成分そのものの解説はL-テアニンの記事)。

なお、降圧剤として利尿薬を使っている場合は、注意する場所が少し変わります。利尿薬は種類によってマグネシウム・カリウムが減る方向と溜まる方向で逆になるうえ、夜間頻尿や夜中のこむら返りという形で睡眠そのものを壊すことがあります。詳しくは利尿薬と睡眠サプリにまとめました。

3比較的、血圧の面では重なりにくい成分

グリシン・クロセチン・ガセリ菌CP2305などは、届出の対象が睡眠の質や中途覚醒、ストレス・腸内環境などで、血圧に関わる機能を主眼にしたものではありません。そのため、血圧という一点では、上に挙げた成分より重なりが少ないと考えられます。ただし、これは「降圧剤とまったく無関係」という意味ではありません。体調や腎機能、ほかに飲んでいる薬によって話は変わるので、常用薬がある以上は、どの成分でも一度は成分名を伝えておくのが基本です。

4サプリより先に見落とされているもの:減塩調味料のカリウム

ここまで睡眠サプリの成分を見てきましたが、降圧剤を飲んでいる人が健康のために手に取るもので、実はもっと直接的に添付文書へ書かれているものがあります。減塩タイプの調味料です。

血圧の薬を飲む多くのARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)の添付文書には、併用注意として次の顔ぶれが並んでいます。カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、トリアムテレン等)、そしてカリウム補給製剤としての【塩化カリウム】です。理由は「血清カリウム値が上昇することがある」ためで、機序としてはアルドステロン分泌の抑制によってカリウムが体に貯留する方向に働くと説明されています。危険因子として腎機能障害が挙げられ、高カリウム血症は重大な副作用としても記載されています。

そして、減塩をうたう塩の多くは、塩味を保ったまま塩分を減らすために、塩化ナトリウムの一部を塩化カリウムに置き換えて作られています。つまり、血圧のために減塩しようとして買った調味料の中身が、飲んでいる薬の添付文書に併用注意として名前が載っているもの、という状況が起こりえます。

さらに厄介なのは、それが表示から読み取りにくいことです。メーカーの公式な説明によると、塩化カリウムを含む複数の原料は「調味料(無機塩等)」として一括で表記されるため、原材料名の欄に塩化カリウムという文字が出てこないことがあります。原材料名を最後まで読んでも気づけない、という構造です。

では何を見るか。手がかりは【栄養成分表示のカリウムの欄】にあります。原材料名に出てこなくても、カリウムを添加していれば栄養成分表示には数値が出ます。実際、メーカー自身も「腎臓病の方や食事治療中の方は、医師にご相談の上、ご使用ください」という注意を製品に添えています。

降圧剤を飲んでいる人、とくに腎機能について何か言われたことがある人は、減塩調味料を使い始める前に、その一点を主治医か薬剤師に伝えてください。睡眠サプリの成分を吟味する前に、毎日の食卓で使うもののほうが量としては大きい、ということがあります。

5選ぶ順番

1. まず、飲んでいる降圧剤の名前と、足そうとしているサプリの成分名を、主治医かかかりつけ薬局に伝える。これが出発点です。
2. 血圧に関わる届出・研究報告のある成分(GABA・マグネシウム・L-テアニンなど)は、特に相談を優先する。
3. 飲み始めたら、立ちくらみ・ふらつき・強いだるさが出ないかを見る。出たらサプリを止めて相談する。
4. 複数のサプリを重ねるほど良い、というものではない。血圧に関わる成分が知らないうちに重なることもあるので、「合う一つ」を探す発想で選ぶ。

6できること・できないことの線

この整理でお伝えできるのは、成分と降圧剤の重なりを読むための一般的な考え方までです。病気の診断や、降圧剤をやめる・変えるといった判断はしません。血圧の薬は、効きすぎても効かなくてもリスクがあるので、調整は必ず主治医の領分です。睡眠サプリはあくまで足し引きの対象で、薬の調整とは切り離して考えてください。強い不眠が続いて生活に支障が出ているなら、サプリより先に受診を考えたほうが近道になることもあります。

7早見表

成分血圧との重なり降圧剤を飲む人の扱い
GABA血圧に関わる届出あり足す前に相談(作用が重なりうる)
マグネシウム降圧・腎機能で関わる足す前に相談(腎機能低下時は特に)
L-テアニン血圧への研究報告あり気になるなら相談
グリシン血圧が主目的の届出ではない重なりは少なめ。常用薬として一度は伝える
クロセチン同上(中途覚醒が対象)同上
ガセリ菌CP2305同上(ストレス・腸が対象)同上
減塩調味料(塩化カリウム)ARB等の添付文書に併用注意として記載使う前に相談。原材料名でなく栄養成分表示のカリウム欄を見る

8確認したうえで選ぶなら

ここで挙げたのは一般的な組み合わせの注意で、自分の薬と体調に当てはまるかは別の話だ。飲んでいる薬がある人は、かかりつけの医師・薬剤師に確認してほしい。そのうえで選ぶなら、成分名ではなく悩みと届出の対象で絞るのが早い。


【監修】まさ(薬剤師・運営者/薬機法管理者/景表法第1級/コスメ薬機法管理者)

【出典・確認日】

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