企業解剖大塚製薬

ネイチャーメイド26品のうち、機能を表示できるのは3品だけ。残りは国が決めた定型文か、無表示。大塚製薬を薬剤師が届出13件で解剖する

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✓一次資料の照合済み消費者庁の機能性表示食品の届出情報検索・栄養機能食品の制度解説と、ネイチャーメイド公式の製品ラインナップ26品で照合(2026-09-27)
まず結論
  • ネイチャーメイドの製品ラインナップ26品を1つずつ開くと、機能性表示食品が3品、栄養機能食品が8品、区分の表示がないものが15品だった。
  • 栄養機能食品に書いてある「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」のような文は、国が決めた定型文で、メーカーが考えた文ではない。他社の同じ成分の商品にも同じ文が載る。
  • 1日あたりの価格で見ると、届出のある3品が66〜150円、区分表示のないビタミンCが約17円、葉酸が約11円。機能を書ける商品ほど高い。
この記事で見た商品
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ネイチャーメイド 葉酸のパッケージネイチャーメイド 葉酸区分の表示なし公式Amazon(PR)

ドラッグストアのサプリ売り場で、白いボトルが並んでいる棚は大きい。ネイチャーメイドは1品ずつの単価が低く、続けやすい。ただ、あの棚を前にして「どれがどういう根拠のものなのか」を区別している人はほとんどいないと思う。

機能性表示食品を持つ会社なので、まず届出情報を開く。届出者名で引くと、大塚製薬株式会社の届出は13件だった(2026-09-27時点)。販売中が7件、販売休止中が6件。ヤクルト本社の39件、株式会社明治の87件と比べると、かなり少ない。

ネイチャーメイドだけで26品あるのに、届出は会社全体で13件しかない。この差がこの記事の入口になる。

126品を1つずつ開くと、3つの山に分かれた

公式の製品ラインナップから26品すべての商品ページを開き、区分の表示を写した。結果はこうなった。

機能性表示食品(3品)
アスタキサンチン、ルテイン、イチョウ葉。この3品だけが、商品ページに「機能性表示食品」と書かれている。ルテインとアスタキサンチンには「機能性表示食品(成分評価)」と、根拠の種類まで添えられている。

栄養機能食品(8品)
スーパーマルチビタミン&ミネラル、マルチビタミン&ミネラル、マルチビタミン、ビタミンBコンプレックス、マルチミネラル、カルシウム・マグネシウム・亜鉛、亜鉛、鉄(アイアン)。区分の横に、どの成分で栄養機能食品なのかが括弧書きで示されている。

区分の表示がない(15品)
ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、ビタミンC、スーパービタミンD、ビタミンE、ベータカロテン、カルシウム、スーパーカルシウム、スーパーフィッシュオイル、フィッシュオイル パール、α-リポ酸、コエンザイムQ10。

いちばん多いのが3つめの山だった。ビタミンCもビタミンEも葉酸もコエンザイムQ10も、区分の表示がない。 この区分では、身体の機能に働きかけることを表示できない。消費者庁の説明はこうなっている。

特定保健用食品、栄養機能食品及び機能性表示食品以外の食品に、食品の持つ効果や機能を表示することはできません。(食品表示基準第9条)

だからビタミンCの商品ページに書いてあるのは「美容に気づかう方のほか、お酒、喫煙習慣のある方や、プレッシャーを感じる方におすすめします」という文になる。誰におすすめかは書けるが、身体に何が起きるかは書けない。

2栄養機能食品の文は、メーカーが書いた文ではない

ここが今回いちばん伝えたいところだ。

マルチビタミン&ミネラルの商品ページには、こう書かれている。

亜鉛 味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素です。
銅 赤血球の形成を助ける栄養素です。多くの体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける栄養素です。
ビオチン 皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。

読むと効きそうに見える。ただこれは大塚製薬が書いた文ではない。 栄養機能食品は、国が成分ごとに機能の文言を決めていて、その文をそのまま書く制度になっている。消費者庁はこう説明している。

栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が、定められた上・下限値の範囲内にある必要があるほか、基準で定められた当該栄養成分の機能だけでなく注意喚起表示等も表示する必要があります(食品表示基準第7条及び第21条)。
また、栄養機能食品は個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度となっています。

つまり、定められた量を入れれば、届出も許可もなしに、決まった文が書ける。 他社の亜鉛サプリにも、まったく同じ「味覚を正常に保つのに必要な栄養素です」が載る。文が同じなのは、両社が同じ根拠を持っているからではなく、同じ文しか書けないからだ。

買う側の読み方はこうなる。栄養機能食品の文言で商品を比べても、差はつかない。 比べるなら成分の量と価格になる。制度の全体像は機能性表示食品とは何かに、表現の読み方は効果をうたう表現の読み方に書いた。

3葉酸400µgに、区分の表示がない

15品の中で目を引いたのが葉酸だ。2粒で400µg入っている。それなのに区分の表示がない。

栄養機能食品は、1日あたりの摂取目安量に含まれる成分量が「上・下限値の範囲内」にある必要がある、と消費者庁が説明している。下限だけでなく上限もあるということだ。多く入れれば有利になる制度ではない。

ネイチャーメイドの葉酸がなぜ栄養機能食品になっていないのかは、公開情報からは断定できない。上下限の具体的な数値はリーフレットの表にあり、今回は開いていない。ただ、量を増やすと区分から外れることがあるという構造は知っておいていい。「多く入っているほうが良い商品」という読み方が、区分の話になると逆さになることがある。

41日あたりで割ると、機能を書ける商品ほど高い

希望小売価格と1日の目安量から割った。すべて税抜の希望小売価格で、店頭の実売とは違う。

商品区分価格(税抜)1日あたり
葉酸 150粒(75日分)表示なし850円約11円
ビタミンC 200粒(100日分)表示なし1,680円約17円
スーパーマルチビタミン&ミネラル(120日分)栄養機能食品2,850円約24円
マルチビタミン&ミネラル 100粒(50日分)栄養機能食品1,980円約40円
ルテイン 60粒(30日分)機能性表示食品1,980円約66円
イチョウ葉(30日分)機能性表示食品2,150円約72円
コエンザイムQ10 50粒(25日分)表示なし2,250円90円
アスタキサンチン(15日分)機能性表示食品2,250円150円

機能性表示食品の3品が66円、72円、150円。ビタミン類は11円から40円に収まっている。機能を書ける商品ほど高い。 成分そのものの原価の差もあるが、届出には試験や研究レビューの費用がかかるので、そのぶんも価格に乗る。

同じ会社の中で見ると、スーパーマルチビタミン&ミネラルが1日約24円で、マルチビタミン&ミネラルの約40円より安い。 120日分でまとめて買う設計になっているぶん、1日あたりが下がる。ベースのサプリを続けるなら、こちらのほうが理屈に合う。

5睡眠の届出も1件ある

目利き堂としては触れておきたいものがある。届出B369「賢者の快眠 睡眠リズムサポート」(2016年12月9日届出・販売中)だ。機能性関与成分はアスパラガス由来含プロリン-3-アルキルジケトピペラジンで、届出表示はこうなっている。

就寝・起床リズムを整えることにより、睡眠の質を高めること(スッキリした目覚め感)や、休日明け(月曜日)の心の健康(楽しく、おだやかな気持ち)の維持をサポートします。また、健康に良い睡眠の維持を助ける(希望する時間より早く目覚めてしまうことを和らげる)機能が報告されています。

睡眠の届出表示としてはかなり具体的で、「希望する時間より早く目覚めてしまうことを和らげる」という早朝覚醒に触れているものは多くない。2016年の届出で、いまも販売中と記録されている。

なお同じ賢者シリーズの「賢者の尿酸対策 上昇抑制サポート」(E717・2020年)は販売休止中だった。

6よくある質問

【ネイチャーメイドは効かないのか】
そうは言っていない。26品のうち15品は、効果を表示できない区分で売られている、というのが事実だ。栄養素の補給として買うなら成分の量と価格を見る。機能を期待するなら、届出のある3品か、栄養機能食品の8品になる。

【栄養機能食品なら国が認めたということか】
違う。消費者庁は「個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度」と説明している。定められた量の範囲に入っていれば、事業者の判断で表示できる。

【他社の同じ成分と何が違うのか】
栄養機能食品の文言そのものは同じになる。違うのは成分の量、粒の大きさ、原材料、そして価格だ。選び方はサプリの選び方にまとめた。

【区分の表示がない商品は買わないほうがいいのか】
栄養の補給として買うなら問題ない。機能を期待して買うなら、根拠が公開されていないことになる。

【大塚製薬の届出が13件しかないのはなぜか】
理由は公表されていない。ネイチャーメイドが栄養機能食品と、区分表示のない商品を中心に組み立てられていることは、ラインナップを開けば確認できる。

7薬剤師として付け加える注意

8誰に向いて、誰には向かないか

ネイチャーメイドは、価格が明示されていて1日あたりを計算しやすい点が強い。栄養素の補給として、不足しているものを1つ足したい人に向く。1日11円から40円という水準は、通販の健康食品と比べるとかなり安い。

一方で、特定の悩みに対する効果を求めて選ぶ棚ではない。機能について公開された根拠がほしいなら、届出のある3品を見るか、他社の届出のある商品を見るほうが早い。白いボトルが並んでいる棚は、機能を売る棚ではなく、栄養素を売る棚だ。 そこを取り違えなければ、続けやすくて良い選択肢になる。

9この記事のポイント


【監修】まさ(現役で通販事業の顧問を務める薬剤師/薬機法管理者・景表法第1級)

【出典・確認日】

【今回確認できなかったこと】

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