栄養

麦茶はカフェインゼロか。薬剤師がお茶の種類別の違いと、薬を飲むときの注意を整理する

まず結論
  • 麦茶は大麦を焙煎した飲み物で、チャノキ(茶の葉)由来ではないためカフェインを含まない。だから夜でも子どもでも選びやすい。
  • 「焙煎するとカフェインが飛ぶ」は誤解。ほうじ茶も玄米茶も緑茶が原料なのでカフェインを含む。名前に「茶」が付くかどうかでは判断できない。
  • 薬は水かぬるま湯で飲むのが基本。麦茶で飲んで大きな問題が起きることは多くないが、水を基本にしておくと考えることが減る。

夏の水分補給として定番の麦茶について、カフェインの有無をはっきりさせたうえで、薬を飲んでいる人が気にすべき点と、作った麦茶が傷みやすい理由まで整理します。

1麦茶にカフェインは入っていない

麦茶は、大麦を焙煎して湯や水で抽出した飲み物です。ここが要点で、原料が大麦であってチャノキ(茶の葉)ではありません。カフェインはチャノキの葉やコーヒー豆に含まれる成分なので、大麦から作る麦茶にはそもそも入っていません。「ノンカフェイン」と書かれているのは、そういう理由によります。

だから、夕方以降に飲んでも睡眠を妨げる方向には働きません。子どもや妊娠中の方が選びやすいのも同じ理由です。

2「茶」と付いていても、カフェインの有無は別

ここが誤解の多いところです。名前に「茶」が付くかどうかは、カフェインの有無と関係ありません。分かれ目は原料がチャノキかどうかです。

カフェインを含むもの(原料がチャノキ):緑茶、煎茶、抹茶、紅茶、ウーロン茶、そしてほうじ茶玄米茶。ほうじ茶は緑茶を強く焙煎したもの、玄米茶は緑茶に炒った玄米を混ぜたものなので、どちらもカフェインを含みます。「焙煎したから飛んでいる」と考えるのは誤りです。ほうじ茶のカフェインは緑茶より少なめとされますが、ゼロではありません。

カフェインを含まないもの(原料がチャノキでない):麦茶(大麦)、ルイボスティー(マメ科の植物)、そば茶、黒豆茶、コーン茶など。

なおそば茶はそばアレルギーのある人は避けてください。ノンカフェインであることと、誰でも飲めることは別の話です。

カフェインを何時まで摂ってよいかという時間の考え方は、カフェインは何時まで大丈夫かに整理しています。

3薬は水かぬるま湯で。麦茶ではどうか

薬剤師として一番聞かれるのがここです。結論としては、薬は水またはぬるま湯で飲むのが基本で、麦茶で飲むことを勧めはしません。ただし「麦茶だと危険」という話でもありません。

なぜ水が基本なのか。薬の吸収や効き方は、水で飲んだ状態を前提に調べられています。他の飲み物で飲むと、その前提から外れる可能性が出てきます。麦茶はカフェインもタンニンの影響も大きくないので、実際に問題が起きることは多くありませんが、飲み物ごとに「これは大丈夫か」を考えるより、水にしておけば考えることが減る——これが実務的な理由です。

本当に気をつけるべきは、麦茶ではなく別の飲み物です。

鉄剤とお茶のタンニンについては、以前は避けるよう指導されることがありましたが、通常の飲用量では吸収への影響は大きくないという見方が広がっています。気になる場合は主治医・薬剤師に確認してください。飲み物や食品と薬の重なりを俯瞰したいときは飲み合わせの総合ガイドが入口になります。

もうひとつ実務的な注意として、薬は十分な量の水で飲んでください。少量で飲み込むと、カプセルや錠剤が食道に留まって刺激になることがあります。冷たい飲み物で一気に流すより、コップ一杯を目安にする方が安全です。

4麦茶は「栄養がある飲み物」ではない

期待値の話も正直に書きます。麦茶の中身はほぼ水で、ミネラルはごく微量、カロリーもほぼありません。栄養を摂る飲み物ではなく、水の代わりに続けやすい飲み物という位置づけが正確です。

そしてそれは弱点ではありません。夏の水分補給で大事なのは「続けられること」で、味がついていて飲みやすく、カフェインがなく、糖も入っていない——この条件を満たす飲み物は実は少ないのです。経口補水液やスポーツドリンクとの使い分けは経口補水液とスポーツドリンクの違いに整理しました。日常の水分補給は麦茶で十分で、経口補水液は「失った時」のものです。

子どもの水分補給にも使いやすい飲み物ですが、離乳前の水分は母乳や育児用ミルクが基本です。子どもの栄養をどう考えるかは子供に栄養サプリは必要かにもまとめています。

5夜に飲むなら、量とタイミング

カフェインがないので、就寝前に飲んでも覚醒方向には働きません。ここは緑茶やコーヒーとの明確な違いです。

ただし水分は水分です。就寝直前にたくさん飲めば、夜間の尿になります。夜中にトイレで目が覚めることが気になっている人は、夜中にトイレで目が覚める(夜間頻尿)の切り分けも見てください。就寝前はコップ一杯程度にとどめ、日中にしっかり摂る形が現実的です。

6作った麦茶は、意外と早く傷む

夏に見落とされやすい点なので書いておきます。麦茶は緑茶と違ってカテキンのような抗菌的に働く成分がほとんどありません。加えて大麦由来の糖質が溶け出しているため、雑菌が増えやすい条件がそろっています。作り置きの麦茶が翌日には味が落ちている、というのはこのためです。

現実的な扱い方は次のとおりです。清潔な容器で作り、冷蔵庫で保存して2〜3日を目安に飲みきる。容器は使うたびに洗って乾かす。口をつけて飲んだペットボトルや水筒は、その日のうちに飲みきる(口の中の菌が入るため、残したまま常温に置くのが一番危ない)。水出しは手軽ですが、煮出しの方が加熱される分だけ有利です。

暑い時期にお腹をこわす原因が、実は飲み物側にあることは珍しくありません。

7できること・できないことの線

ここで整理できるのは、麦茶のカフェインの有無と、薬を飲むときの一般的な考え方、保存の目安までです。病気の診断や、薬の変更・中止の判断はしません。

飲んでいる薬について「何で飲めばよいか」「この飲み物は避けるべきか」を個別に判断したいときは、処方元の薬局で聞くのが最短です。薬剤師はその質問に答えるためにいます。

8早見表

飲み物原料カフェイン
麦茶大麦含まない
ルイボスティーマメ科の植物含まない
そば茶そば(※そばアレルギーは不可)含まない
緑茶・煎茶・抹茶チャノキ含む
ほうじ茶チャノキ(強く焙煎)含む(緑茶より少なめとされる)
玄米茶チャノキ+炒った玄米含む
紅茶・ウーロン茶チャノキ含む
論点要点
薬を飲む水水かぬるま湯が基本。コップ一杯の量で飲む
注意すべき飲み物グレープフルーツジュース、牛乳・乳製品、カフェイン飲料
夜の麦茶カフェインなしで飲めるが、量は夜間頻尿に影響
保存冷蔵で2〜3日。口をつけた容器は当日中

【監修】まさ(薬剤師・運営者/薬機法管理者/景表法第1級/コスメ薬機法管理者)

【出典・確認日】

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