メラトニンは日本のサプリで買えるのか。薬剤師が制度と代わりを整理する
- メラトニンは体内で出る睡眠に関わるホルモンで、日本では「医薬品の成分」の扱い。食品サプリとしては原則売られていない。
- 薬局の棚で「メラトニン配合サプリ」を見かけないのはこのため。海外通販の個人輸入品は品質・含有量のばらつきや飲み合わせのリスクがある。
- 日本で睡眠の質のために選べるのは、メラトニンではなく機能性表示食品の別成分。強い不眠なら、メラトニンに関わる処方薬もあるので受診を。
1メラトニンとは何か
メラトニンは、夜になると脳から分泌が増える、睡眠と体内時計に関わるホルモンです。「眠りのホルモン」と紹介されることもあります。海外ではサプリメントとして広く売られているため、「日本でも買えるはず」と探す人が多いのですが、日本では事情が違います。
2なぜ日本のサプリ棚にないのか
日本では、メラトニンは食品ではなく医薬品の成分として位置づけられています。そのため、食品(サプリメント)としてメラトニンを配合し、睡眠への効果をうたって売ることは、制度上できません。ドラッグストアの健康食品コーナーで「メラトニン配合」の国産サプリを見かけないのは、これが理由です。「睡眠に効く成分なのに、なぜ売っていないのか」という疑問の答えは、成分の力ではなく、制度上の分類にあります。
医薬品としては、メラトニンそのものを使う薬(小児の入眠困難に用いる処方薬)や、メラトニンが働く受容体に作用するタイプの睡眠の薬が、医師の処方で使われています。つまりメラトニンは「市販のサプリでは買えないが、医療の中では使われている」成分です。
3海外通販・個人輸入の注意
海外ではメラトニンがサプリとして売られているため、個人輸入で入手する人もいます。ただ、ここには薬剤師として注意を促したい点があります。個人輸入品は、表示された含有量と実際が一致しないことがある、品質管理の基準が国内と異なる、他の薬との飲み合わせが自己責任になる、といったリスクを伴います。とくに何かの薬を飲んでいる人は、自己判断で足すのは避けたいところです。「海外では普通に売っているから安全」とは限らない、というのが正直なところです。
4日本で選べる「代わり」
では日本では手がないかというと、そうではありません。睡眠の質という切り口でなら、メラトニンではない成分で、国に届け出のある機能性表示食品が選べます。寝つき・眠りの浅さならグリシン、夜中に目が覚めるならクロセチンといった具合に、悩みに合わせた選択肢があります。これらは「メラトニンの代用品」ではなく、別の仕組みで睡眠の質に関する届出をしている成分です。届出表示が何を言っていて何を言っていないかは、届出表示の読み方で確認できます。市販の睡眠改善薬や処方の睡眠薬との違いは、睡眠のための選択肢の全体像で整理しています。
5受診を考える目安
寝つけない・途中で目が覚める状態が続いて生活に支障が出ているなら、サプリや海外品を探す前に、医療機関の受診が近道になることがあります。メラトニンが働く受容体に作用する薬を含め、医師が選べる手はいくつもあります。とくに気分の落ち込みが一緒にあるなら、早めの相談が大切です。寝つきの悩みが中心なら、寝つきが悪い人の入口も参考にしてください。
- 医薬品としての位置づけ:医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品添付文書情報(https://www.pmda.go.jp/)
- 機能性表示食品の届出:消費者庁 届出情報検索(https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/)