企業解剖大正製薬

「リポビタン」は医薬部外品、「ビオフェルミン」は医薬部外品と機能性表示食品が同居。大正製薬を薬剤師が一次資料で解剖する

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✓一次資料の照合済み消費者庁 機能性表示食品届出情報検索・添付文書情報・メーカー公式情報・消費者庁の措置命令発表で照合(2026-09-28)
まず結論
  • 大正製薬は消費者庁への機能性表示食品の届出が60件ある。ただしリポビタン名義の届出3件(ゼリータイプ)はすべて販売休止中で、いま店頭で言える「リポビタン」の効能は医薬部外品の枠にとどまる。
  • 「ビオフェルミン」は指定医薬部外品の新ビオフェルミンS錠と、機能性表示食品のスマート腸活サプリ・セラミド腸活サプリが同時に並ぶ。言える範囲は区分ごとに別物だ。
  • 2024年11月、大正製薬は「いわゆる健康食品」のNMN taishoでステルスマーケティングを理由に消費者庁から措置命令を受けた。効能の話ではなく、広告の出し方の話だった。
この記事で見た商品
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大正製薬はリポビタンD、パブロン、ビオフェルミンといった一般用医薬品・医薬部外品で名前が通っている会社で、近年は機能性表示食品にも届出を広げている。この会社を解剖するときに効くのは、商品単位の比較よりも【同じブランド名の下で区分がいくつに分かれているか】という見方だ。区分が変われば、パッケージに書ける言葉の範囲がまるごと変わる。

一次資料は区分によって開く先が違う。医薬品・医薬部外品は添付文書と製品の効能・効果表示、機能性表示食品は消費者庁の届出情報検索(https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/)になる。今回は届出者名「大正製薬」で検索し、60件(販売中28・販売休止中31・空欄1)を確認した。

1「リポビタン」の機能性表示食品は、3件とも今は買えない

消費者庁の届出情報で「リポビタン」を含む商品名を拾うと、次の3件が出てくる。

届出番号商品名関与成分届出日状況
F221リポビタンゼリーneo(ネオ)クエン酸2020/6/30販売休止中
F768リポビタンゼリーaクエン酸2020/12/28販売休止中
G450リポビタンゼリーbクエン酸2021/8/6販売休止中

届出表示は「本品にはクエン酸が含まれます。クエン酸は日常生活における軽い運動後の一時的な疲労感を軽減することが報告されています。」(F768、G450はほぼ同文)。ゼリー3件がそろって休止中ということは、いま店頭やオンラインで買える「リポビタン」ドリンク・錠剤には、機能性表示食品としての届出表示は付いていないということになる。

代わりに効いてくるのが医薬部外品の効能・効果だ。リポビタンD(指定医薬部外品)は次のように書かれている。

疲労の回復・予防
体力、身体抵抗力又は集中力の維持・改善
日常生活における栄養不良に伴う身体不調の改善・予防:肩・首・腰又は膝の不調、疲れやすい・疲れが残る・体力がない・身体が重い・身体がだるい、肌の不調(肌荒れ、肌の乾燥)、二日酔いに伴う食欲の低下・だるさ、目の疲れ
虚弱体質(加齢による身体虚弱を含む。)に伴う身体不調の改善・予防:骨又は歯の衰え
病中病後の体力低下時、発熱を伴う消耗性疾患時、食欲不振時、妊娠授乳期又は産前産後等の栄養補給

錠剤タイプのリポビタンDXも同じく指定医薬部外品で、成分はタウリン500mg・ビタミンB群・アスコルビン酸カルシウム100mgなど(3錠中)。効能・効果はドリンクのリポビタンDとほぼ同じ枠で書かれている。特定の疾患名は入らず、「回復・予防」「維持・改善」という言葉が並ぶのが医薬部外品の特徴になる。180錠入りの価格は3,136円(税込・小売確認)で、1日3錠の用法だと60日分、1日あたり約52円になる。

2「ビオフェルミン」は、医薬部外品と機能性表示食品が同時に並ぶ

ビオフェルミンはリポビタンと違い、いま2つの区分が同時に生きている。

商品区分言える範囲
新ビオフェルミンS錠指定医薬部外品効能・効果に「整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感」と書ける
ビオフェルミン スマート腸活サプリ(届出J1441)機能性表示食品届出表示の範囲(便秘気味な方のおなか、内臓脂肪・皮下脂肪、BMI)
ビオフェルミン セラミド腸活サプリ(届出J1442)機能性表示食品関与成分ビフィズス菌8013株・パイナップル由来グルコシルセラミド

新ビオフェルミンS錠は15歳以上の1日服用量(9錠)にコンク・ビフィズス菌末18mg・コンク・フェーカリス菌末18mg・コンク・アシドフィルス菌末18mgを配合し、効能・効果は「整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感」。540錠入りは大正製薬の希望小売価格が3,812円(税込)で、実際の販売価格は店により2,418円まで下がっていた(いずれも2026年9月28日確認)、1日9錠・60日分として計算すると1日あたり約40円から約64円になる。同じ商品でも売り場でここまで価格差が出る。

一方のスマート腸活サプリは2026年1月6日から通販限定で発売された機能性表示食品で、届出表示はこうなっている。

本品にはビフィズス菌8013株(Bifidobacterium longum CLA8013)、ガレート型カテキンが含まれています。ビフィズス菌8013株(Bifidobacterium longum CLA8013)には便秘気味な方のおなかの調子を整える機能が報告されています。ガレート型カテキンには、脂肪の吸収を抑制することにより、肥満気味の方のおなかまわりの脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)を低下させ、体重の減少をサポートし、高めのBMIを低下させる機能があることが報告されています。

新ビオフェルミンS錠の「整腸」と、スマート腸活サプリの「おなかまわりの脂肪」「体重の減少をサポート」は、同じブランドでも狙っている効果がそもそも違う。前者は整腸薬としての効能、後者は届出に基づく機能性表示で、選ぶ理由も別物になる。セラミド腸活サプリ(J1442)についても関与成分はビフィズス菌8013株とパイナップル由来グルコシルセラミドまでは消費者庁の届出情報で確認できたが、届出表示の全文はこの記事の時点では確認できなかった。

3医薬品として言えるのはパブロン。添付文書の逐語

大正製薬の商品の中で、正真正銘の「医薬品」に区分されるのがパブロンだ。パブロンゴールドA〈錠〉は指定第2類医薬品で、添付文書の効能・効果はこうなっている。

かぜの諸症状(せき、たん、のどの痛み、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和

用法・用量は「次の量を食後なるべく30分以内に水又はぬるま湯で服用してください。15才以上:3錠、12才〜14才:2錠、1日3回服用。12才未満:服用しないこと」。成分は3錠中にグアイフェネシン60mg、ジヒドロコデインリン酸塩8mg、dl-メチルエフェドリン塩酸塩20mg、アセトアミノフェン300mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩2.5mg、無水カフェイン25mg、リボフラビン4mgの7種類。添付文書の「してはいけないこと」には「次の人は服用しないでください」として「12才未満の小児」が挙がり、「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください(眠気等があらわれることがあります)」とある。「相談すること」には、服用後に「便秘、口のかわき、眠気」の持続または増強が見られた場合は服用を中止して医師・薬剤師・登録販売者に相談するよう書かれている。15才以上と12〜14才で1回量が分かれ、12才未満は服用できない年齢設計になっている。効能はあくまで「かぜの諸症状の緩和」であって、かぜそのものを治す薬ではない。ここは医薬品でも変わらない一線になる。

4トクホから機能性表示食品へ切り替えた過去、そしていわゆる健康食品での措置命令

大正製薬にはもう1つ、区分をまたいだ経緯を持つ商品がある。リビタシリーズの「グルコケア 粉末スティック」は、もともと特定保健用食品として発売され、2018年に機能性表示食品へ切り替わった。国の個別審査を経て許可されるトクホから、事業者の届出で始められる機能性表示食品へ、同じ商品が制度を移った例になる。大正製薬が現在もトクホの許可を保有しているかどうかは、今回開いた一次資料の範囲では確認できなかった。

もう1つ、区分の外側の話として書いておきたいのが2024年11月13日の出来事だ。消費者庁は大正製薬に対し、同社が供給する「NMN taisho」というサプリメントについて、景品表示法第5条第3号(ステルスマーケティングの告示)に基づく措置命令を出した。インフルエンサーに商品を提供して投稿させ、その投稿を広告であることを示さずに自社サイトに転載していたことが対象になった。NMN taishoは医薬品でも医薬部外品でも機能性表示食品でもない、いわゆる健康食品にあたる。効能・効果を偽ったわけではなく、広告だと分からない形で宣伝したことが問われた点は書いておく必要がある。規制の強い区分(医薬品・医薬部外品・機能性表示食品)には表示のたびに審査や届出の手続きが挟まるのに対し、いわゆる健康食品はその手間がない分、広告の出し方そのものが景品表示法の対象になる。

5よくある質問

【リポビタンDとリポビタンDXはどちらを選べばいいか】
どちらも指定医薬部外品で、効能・効果の枠はほぼ同じ。ドリンクか錠剤かという剤形の違いが選ぶ基準になる。

【リポビタンは機能性表示食品ではないのか】
リポビタン名義の機能性表示食品はゼリータイプが3件あったが、消費者庁の届出情報では3件とも販売休止中だった。今買えるリポビタンは医薬部外品の枠で選ぶことになる。

【新ビオフェルミンS錠とスマート腸活サプリは同じ効果か】
違う。新ビオフェルミンS錠の効能・効果は「整腸(便通を整える)、軟便、便秘、腹部膨満感」。スマート腸活サプリは届出表示の範囲で「おなかまわりの脂肪」「体重の減少のサポート」まで踏み込んでいる。狙いが違うので、目的に合わせて選ぶ必要がある。

【パブロンはかぜを治す薬か】
添付文書の効能・効果は「かぜの諸症状の緩和」で、症状を和らげる薬であって、かぜそのものを治療する薬ではない。

【NMN taishoの措置命令は商品の効果が問題だったのか】
対象になったのは広告であることを隠したステルスマーケティングで、景品表示法第5条第3号にあたる。商品の効能・効果自体を偽ったという内容ではない。

6薬剤師として付け加える注意

7誰に向いて、誰には向かないか

滋養強壮や整腸を目的に、承認・届出済みの範囲で選びたい人にはリポビタンやビオフェルミンの医薬部外品ラインが向いている。おなかまわりの脂肪や体重のサポートまで踏み込みたい人は、機能性表示食品のスマート腸活サプリのほうが届出表示の範囲でその言葉を使える。一方で、かぜそのものを治したい、不眠症のように病名がついた症状を改善したいという場合は、医薬部外品や機能性表示食品では対応できない範囲で、医薬品か受診が必要になる。

8この記事のポイント

【監修】まさ(現役で通販事業の顧問を務める薬剤師/薬機法管理者・景表法第1級)

【出典・確認日】

【今回確認できなかったこと】

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