企業解剖原沢製薬工業

同じ辛夷清肺湯で、エキスは1.5倍・1日単価は安い。原沢製薬工業を薬剤師がエキス1gあたりで解剖する

PRこの記事には商品へのアフィリエイトリンクを含みます。掲載は薬剤師が成分と一次資料で選んだもので、報酬の有無で評価や順位を変えていません。
✓一次資料の照合済み一般用医薬品の成分・分量および効能・効果、小売各社の価格で照合(2026-09-25)
まず結論
  • チオセルエース錠の1日量は12錠中に辛夷清肺湯エキス3,000mg。同じ処方のチクナインbは8錠中2,000mgで、エキス量が1.5倍違う。
  • 1日あたりの価格は約176円と約212円。エキス1gあたりに割り戻すと約59円と約106円で、差は約1.8倍になる。
  • ただし飲む回数は1日3回と1日2回。安いほうが手間は多い。ここは価格と交換している。

原沢製薬工業は、テレビCMでも店頭のPOPでもほとんど名前を見ない会社だ。それでも第2類医薬品を自社で製造販売していて、ドラッグストアや通販の棚には並んでいる。製薬会社なので、開く一次資料は成分・分量と効能・効果になる。

こういう会社を解剖する意味は、はっきりしている。【同じ処方で、名前を知られている製品と知られていない製品が並んでいるとき、中身と価格はどうなっているのか】を確かめられることだ。今回はそれが数字で出た。

1チオセルエース錠の中身。辛夷清肺湯エキス3,000mg

チオセルエース錠は第2類医薬品で、効能・効果はこうなっている。

体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの次の諸症:鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)

漢方らしく、効能の文の頭に【体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うもの】という体質と症状のめやすが入っている。ここが合わない人には別の処方が向く。効能の後半だけを読んで「鼻づまりの薬」として選ぶと、この条件を飛ばすことになる。

成分・分量は1日量(12錠)中に辛夷清肺湯エキス3,000mgで、内訳はシンイ1.0g、ビワヨウ1.0g、ビャクゴウ1.5g、チモ1.5g、オウゴン1.5g、サンシシ1.5g、バクモンドウ2.5g、セッコウ2.5g、ショウマ0.5gの9種類の生薬になる。用法は1日3回、食前または食間。大人(15歳以上)4錠、7歳以上15歳未満3錠、5歳以上7歳未満2錠で、5歳未満は服用しない。

小児の量が刻まれている点は、選ぶときの実益になる。子どもの鼻に使えるかどうかは、この用法の欄を見れば分かる。

2同じ辛夷清肺湯のチクナインbと並べる

辛夷清肺湯の市販薬でいちばん名前が知られているのは小林製薬のチクナインだ。同じ処方名の製品なので、エキス量と価格を並べられる。

チオセルエース錠(原沢製薬工業)チクナインb(小林製薬)
区分第2類医薬品第2類医薬品
処方辛夷清肺湯辛夷清肺湯
1日量のエキス12錠中 3,000mg8錠中 2,000mg
服用回数1日3回(食前または食間)1日2回(朝夕、食前または食間)
内容量と日数240錠=20日分112錠=14日分
最安価格(税込)3,529円2,963円
1日あたり約176円約212円
エキス1gあたり約59円約106円

同じ処方名でも、エキスの量は製品ごとに違う。ここは漢方の市販薬で見落とされやすい部分だ。処方名が同じなら中身も同じ、とは限らない。

そして原沢製薬工業のほうがエキスが1.5倍入っていて、1日あたりの価格は約36円安い。エキス1gあたりで見ると差は約1.8倍になる。名前を知られていないほうが、量が多く単価が安い、という結果だった。

ただし【エキスが多いほうが効く】と単純に言うことはしない。漢方は量を増やせば比例して効くという形の薬ではないし、体質のめやすが合っているかどうかが先に来る。それに服用回数が1日3回か2回かの差は、続けられるかどうかに直接効く。昼に飲めない生活なら、2回のほうが結果として最後まで飲み切れる。安いほうは手間と交換していると読むのが正確だ。

3ネオレバルミン錠のほう。有効成分の構成を見る

原沢製薬工業のもう1つの主力がネオレバルミン錠で、こちらも第2類医薬品。小売の商品情報では有効成分として濃縮肝臓水解物、グルクロノラクトン、葉酸、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類が挙がっていた。価格は180錠で税込2,882円の表示だった。

肝臓水解物を主成分とする市販薬は他社にもあるカテゴリーで、同じ土俵の比較ができるはずの製品群になる。ただ今回は成分の分量(各成分が1日量あたり何mgか)と効能・効果の逐語までは一次資料で確認できなかった。分量が分からない状態で他社品と価格を並べても、比べたことにはならない。分量を一次資料で押さえられたら、あらためて並べる。

4名前を知らない会社の薬を、どう判断するか

知らない会社の製品を前にしたときに見るのは、会社の知名度ではなく次の3つだ。

まず区分。第2類医薬品と書いてあれば、承認された効能・効果があり、箱の中に添付文書が入っている。次に成分・分量。処方名や成分名が同じでも量が違うことがあるので、1日量あたりの数字を揃える。最後に用法・用量。服用回数と対応している年齢がここに出る。この3つが確認できれば、名前を聞いたことがあるかどうかは判断材料としては後ろに下がる。

逆に言えば、この3つが確認できない製品——成分名は書いてあるが量が書いていない、区分の表示がない——は、知名度に関係なく判断を保留する。選び方の順番はサプリの選び方にも書いているが、医薬品でも同じ順番になる。

5よくある質問

【チクナインの代わりにチオセルエース錠を使っていいのか】
処方は同じ辛夷清肺湯で、効能・効果に蓄膿症(副鼻腔炎)と慢性鼻炎が入っている点も共通している。ただし体質のめやすと服用回数、対応年齢は製品ごとに確認してほしい。持病や併用薬がある場合は薬剤師に相談を。

【エキスが1.5倍なら1.5倍効くのか】
そうは言えない。漢方は量と効果が比例する形の薬ではなく、処方が体質に合っているかが先に来る。量の差は「同じ処方名でも中身は違う」という事実の確認までだ。

【1日3回は続けられるか心配だ】
食前または食間なので、昼の1回を落としやすい。飲み切れないと結局効かないので、生活に合うほうを選ぶのが正解だと思う。

【蓄膿症はこの薬で治るのか】
効能・効果に蓄膿症(副鼻腔炎)は入っているが、症状が続くなら耳鼻咽喉科の受診が先だ。市販の漢方で様子を見る期間は、箱の中の文書に書かれている範囲にとどめてほしい。

【原沢製薬工業はどんな会社か】
第2類医薬品を自社で製造販売している会社だが、今回は創業年や規模といった会社情報を一次資料で確認していない。確認できていないことは書かないでおく。

6薬剤師として付け加える注意

7誰に向いて、誰には向かないか

濃い鼻汁と鼻づまりが続いていて、辛夷清肺湯が自分に合うと分かっている人——つまり過去にチクナインなどで効いた経験がある人——には、チオセルエース錠のほうが量が多く単価が安い選択になる。一方、昼に薬を飲む習慣がない人には1日3回はきつい。そこは素直に1日2回の製品を選んだほうが飲み切れる。どちらの処方が自分に合うのか自体が分からない段階なら、まず薬剤師に相談するか受診してほしい。

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8この記事のポイント


【監修】まさ(現役で通販事業の顧問を務める薬剤師/薬機法管理者・景表法第1級)

【出典・確認日】

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