お風呂は寝る何時間前がいい?薬剤師が深部体温と入浴のタイミングを整理する
- 眠気は「体の内側の温度(深部体温)が下がるとき」に強まる。入浴で一度体温を上げておくと、その後の下がり方が大きくなり、寝つきやすくなる。
- 目安は、就寝の1.5〜2時間前に、40度前後のお湯へ10〜15分。熱すぎるお湯や寝る直前の入浴は、かえって体を覚まして逆効果になりやすい。
- サプリより先に試せる、お金のかからない睡眠対策。ただし高齢の方やのぼせやすい方は、熱い湯・長湯・急な温度差に注意する。
1なぜお風呂で眠りやすくなるのか
人は、体の内側の温度(深部体温)が下がっていくときに眠気が強まります。入浴は、この仕組みを利用できます。40度前後のお湯に15分ほど浸かると深部体温が一時的に上がり、その後およそ90分かけて元へ戻っていきます。体温は一度上がると、その反動で元より下がろうとするため、この「下がっていく波」に乗せて布団に入ると、寝つきやすく深い眠りにつながりやすい、と考えられています。
つまり入浴は、体温のリズムを味方につける方法です。寝る直前に温まるのではなく、少し前に温めておくのがコツ、という点が大事になります。
2タイミングと温度の目安
目安は、就寝の1.5〜2時間前に、40度前後のお湯へ10〜15分ほど浸かることです。この時間があくと、上がった深部体温がちょうど下がってくるタイミングで眠気が来ます。
避けたいのは、熱すぎるお湯と、寝る直前の入浴です。42度を超えるような熱い湯は交感神経を刺激して体を覚ましてしまい、寝る直前だと体温が下がりきらないまま布団に入ることになって、かえって寝つきを妨げます。「熱い風呂に入ってすぐ寝る」は、実は逆効果になりやすい組み合わせです。
時間がなくてシャワーだけ、という日もあります。その場合も、首の後ろや肩を少し温めに当てるだけで多少は違いますが、深部体温を動かす効果は湯船に浸かるほうが大きい、という前提で考えてください。
3サプリより先に、生活で試せること
入浴は、睡眠サプリを買う前に試せる、お金のかからない対策です。睡眠サプリは睡眠の質に関する届出であって、入浴のような体温のコントロールを置き換えるものではありません。まず生活の土台を整えたうえで、それでも気になるなら成分を検討する、という順番が損をしません。全体像は睡眠の質を上げる総合ガイドに、寝室側の工夫は寝室環境の整え方にまとめました。運動と睡眠の関係も体温の話に通じます(運動と睡眠の記事)。
4高齢の方・のぼせやすい方への注意
体温を動かす方法だからこそ、注意もあります。高齢の方や血圧の薬を飲んでいる方は、熱い湯・長湯・脱衣所と浴室の急な温度差(ヒートショック)で体に負担がかかることがあります。お湯はぬるめ、長湯を避け、冬は脱衣所を暖めておく。のぼせやすい方は無理をしない。安全の範囲で、体温のリズムを味方につけるのが基本です。
寝つきそのものが気になるなら寝つきが悪い人の入口も合わせてどうぞ。道具を増やす前に、お風呂の入り方を少し変える——地味ですが、再現性のある一手です。
- 入浴・深部体温・睡眠(就寝前の入浴タイミング):厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド、睡眠と入浴に関する研究の一般向け解説
- 消費者庁 機能性表示食品 届出情報検索(https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/)