市販の睡眠改善薬(ドリエル)は毎日飲んでいいのか。薬剤師が連用と高齢者の注意を整理する
- ドリエルなどの市販睡眠改善薬は「一時的な不眠」のための薬で、毎日続けて飲むことは想定されていない。
- 成分(ジフェンヒドラミン)は数日の連用で効きにくくなる。効かないからと量や回数を増やすのは逆効果。
- 高齢の方は、ふらつき・転倒、尿が出にくい、緑内障の悪化などの抗コリン作用の影響が出やすく、とくに避けたい。毎日飲まないと眠れない状態は、市販薬で粘らず受診のサイン。
1市販の睡眠改善薬は「毎日の薬」ではない
ドリエルに代表される市販の睡眠改善薬は、抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミンの「眠気」という副作用を、睡眠改善に転用した薬です。花粉症の薬で眠くなるあの作用を使っている、と考えると分かりやすいと思います。
ここで押さえておきたいのは、この薬が「一時的な不眠」——たとえば旅行や環境の変化で数日眠れない、といった場面のための薬だという点です。慢性的な不眠に毎日使う設計にはなっていません。パッケージにも一時的な不眠向けと書かれています。
2数日で効きにくくなる(耐性)
ジフェンヒドラミンは、連用すると数日で効果が薄れてくることが知られています。眠れないからと毎日飲み続けると、かえって効かなくなり、効かないからと量や回数を増やす——という悪循環に入りやすい。これは根本の不眠を解決しないまま、体に負担だけをかける飲み方です。
数日試して眠れる助けにするのはよいとして、「効かなくなってきた」「毎日手放せない」と感じたら、それは薬を足す合図ではなく、原因を確かめる合図です。
3高齢の方は、とくに注意
高齢の方では、この薬の注意が一段重くなります。ジフェンヒドラミンは抗コリン作用が強く、高齢者に慎重を要する薬をまとめたビアーズ基準にも挙げられています。
具体的には、眠気やふらつきによる転倒、尿が出にくくなる(前立腺の症状がある方はとくに)、眼圧が上がって緑内障が悪化する、口の渇き、日中への眠気の持ち越し、ぼんやり——といった影響が出やすくなります。薬の抜けも遅くなりがちです。高齢の家族が市販の睡眠薬を常用しているなら、一度立ち止まって見直したいところです。高齢の方の睡眠と薬の考え方は高齢者と睡眠薬の記事に整理しました。
4毎日必要なら、市販薬で粘らず受診
毎日飲まないと眠れない、という状態は、市販の睡眠改善薬でしのぎ続ける段階を超えています。背景に、ストレスや生活リズム、痛みやかゆみ、ほかの病気が隠れていることもあり、そこを確かめないまま市販薬を重ねても遠回りになります。
市販の睡眠改善薬・処方の睡眠薬・睡眠サプリはそれぞれ立ち位置が違います。違いは睡眠薬・改善薬・サプリの違いの記事で確認できます。睡眠サプリと睡眠薬を一緒に使う場合の考え方は睡眠サプリと睡眠薬の飲み合わせにまとめています。寝つきそのものの切り分けは寝つきが悪い人の入口も合わせてどうぞ。
一時的な不眠を数日助けてもらう。それがこの薬の正しい使いどころで、毎日の頼りにするものではない——この線を守ることが、いちばん安全な使い方になります。
- ジフェンヒドラミン・睡眠改善薬の連用・高齢者の注意(ビアーズ基準・抗コリン作用):各製品の添付文書、医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品添付文書情報(https://www.pmda.go.jp/)、日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」などの一般向け情報