栄養

「身長が伸びるサプリ」は本当か。薬剤師が子供の成長と広告の見分け方を整理する

まず結論
  • 「飲めば身長が伸びる」とうたうサプリに、確かな根拠はない。アルギニンなどを口から摂っても、成長ホルモンを意味あるほど増やせないことが知られている。
  • 身長は、栄養・睡眠・運動・遺伝で決まる。栄養が足りていることは土台として大事だが、サプリで背を伸ばす「魔法」はない。
  • 「○cm伸びた」「95%が実感」といった広告は、景表法・薬機法の観点で危ういことが多い。派手な数字より、成長曲線と、必要なら小児科の受診で確かめる。

1「身長サプリ」に効果はあるのか

子供の身長を気にして調べると、アルギニンをはじめとする「身長サプリ」が数多く出てきます。ただ、結論から言えば、飲めば身長が伸びると保証できる根拠はありません。

よく使われるアルギニンは、点滴で急に血中濃度を上げると成長ホルモンの分泌を促す作用が知られています。ところが、口から飲んだ場合は胃や腸で消化・吸収される過程で事情が変わり、成長ホルモンを意味あるほど増やす効果は認められていません。小児内分泌の専門家からも、経口摂取による身長増加の効果は限定的だという見解が示されています。仮に一時的にホルモンが動いたとしても、それが持続的な身長の伸びにつながるかは、信頼できる形で示されていません。

つまり「身長サプリ=背が伸びる薬」ではない、というのが冷静な見方になります。

2身長を決めるのは何か

では何が身長を決めるのか。大きくは、栄養・睡眠・運動・遺伝です。

栄養は土台です。たんぱく質やカルシウム、鉄などが不足していると成長に響くので、「足りない栄養を補う」意味はあります。ただしそれは「不足を埋める」話であって、「足りている子にさらに足すと背が伸びる」話ではありません。子供の栄養補助の考え方は子供の栄養補助食品の記事に整理しました。

睡眠も見落とせません。成長ホルモンは深い睡眠中に多く出るため、「寝る子は育つ」には根拠があります。夜ふかしを減らし、しっかり眠るほうが、あやしいサプリより確実です。必要な睡眠時間は睡眠時間は何時間必要かの記事を参考にしてください。運動と、そして遺伝の影響も大きい。身長は一つの商品でどうにかなるものではない、という前提が出発点になります。

3誇大広告の見分け方

子供の身長は親の関心が高いぶん、広告も過熱します。ここで薬剤師として言いたいのは、派手な表現ほど疑う、ということです。

「これで○cm伸びた」「利用者の95%が実感」「専門家も推奨」——こうした表現は、合理的な根拠(試験の対象・条件・出典)がなければ、景表法の優良誤認にあたるおそれがあります。食品で「身長が伸びる」と体の変化を保証するように書けば、薬機法(未承認医薬品の効能標榜)の観点でも危うい。体験談や before/after 写真で効果を匂わせるのも、同じく注意が必要な手法です。広告の表現をどう読むかは届出表示の読み方、機能性表示食品の仕組みは機能性表示食品とはにまとめています。

見分け方はシンプルです。効果を断定している、数字の根拠が示されていない、体験談で煽っている——このどれかがあれば、いったん距離を置く。子供のことだからこそ、冷静に。

4心配なら、サプリより受診

背の伸びが気になるなら、まず母子手帳や学校の記録で成長曲線を確かめてください。標準的なカーブに沿って伸びていれば、多くは心配のいらない個性の範囲です。一方で、カーブから大きく外れて伸びが鈍い、急に伸びが止まった、という場合は、栄養やホルモンなどの背景を確かめる意味があり、小児科(必要なら小児内分泌)での相談が向きます。低身長のなかには、医療として治療の対象になるものもあります。これはサプリで対処するものではありません。

子供の成長は、栄養・睡眠・運動という土台を整え、心配があれば受診で確かめる——この地道な道が、派手な身長サプリより確実で安全です。


【監修】まさ(薬剤師・運営者/薬機法管理者/景表法第1級/コスメ薬機法管理者)

【出典】